白っぽくなる黒い服の対処法を考えてみる
黒と一口に言っても、様々なお色味があります。
夏、やはり涼しさを求めて麻の洋服を手にしたくなりますが
黒などお色味の濃いものは白っぽくなったりしてしまうことを懸念されるお客様もいらっしゃいます。
そこで、今回は白っぽくなる黒い服の対処法を考えてみようと思います。
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1.生地の性質
2.染めの種類
3.染めかさねる‐藍の場合(黒に近い藍色)
4.染めかさねる‐黒の場合
5.まとめ
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1.生地の性質
白っぽく見える理由をまず考えてみます。
天然繊維は、化学繊維と違って短繊維です。
その短い繊維が、毛羽っぽく、白っぽく見えたりするのではと感じたりしています。
麻など裁断すると
細かく短い繊維が机の上にのっています。
例えば、赤い麻の生地を裁断しますと
全体的に机の上が赤っぽくなる感じです。
2.染めの種類
また、無地の生地を大きく分けますと、織り上げた白生地を反物の大きさで染めていく【後染め】と
糸の時点で染めて織り上げていく、【先染め】の2種類があります。
特に綿や麻などの地厚な生地になりますと、白生地を無地に染め上げる工程はとても大変です。
織糸の打ち込み部分まで染料を浸透させるには、何度も何度も染料に浸す必要があるからです。
こっくりとした深いお色味を求めたいときは、先染めがいいのかなと感じます。
3.染めかさねる-藍の場合(黒に近い藍色)
因みに、気に入っていたコットン100%のシャツブラウスを
毎年藍染めをして着続けていたことがありました。
着心地の良さとサイズ感が気に入っていて毎日のように着ていたのですが
さすがに次の年には白っぽく感じたので、毎年染め重ねていました。
染色のお仕事をしていた友人からは、染めると目では見えなかったしみが際立ってしまう時もあるので
お仕事として受けるのが難しかったりもするというお話しを聞いていましたので自己責任で毎年自分で染めていました。
下記、立派な藍甕のお写真を拝借しております。
管理が大変といわれる藍甕です。
毎日竹の棒で撹拌していく作業が愛おしくもあるのですが、やはり生き物。
罵声などが交わされている現場では、藍はぐったりして生き返らなかった現場にも立ち会いました。
色というものが、自然界からの賜りもので、生命を分けていただいているという感覚を肌で感じた出来事でした。
貴重な経験でした。
その色を重ねて、深みが増していく過程と
重ねていったその先にある深い色味を堪能することが喜びでもありました。
4.染めかさねる-黒の場合
役者さんは、下地の色から指定する
というお話を知ったときは驚きました。
下地に染めているお色味によって
光を通して見えてくる色が変わってくるんだそうです。
緋色か藍か。
その上に、黒になる染料をかけていく。
天然繊維を黒に染めていく作業はなかなか大変だともお聞きしました。
なかなか色が入らない、濃く染めることが難しい素材もあるんだと。
先日、オーガニックコットンを何種類か揃えましたが、グレーのように感じる黒の素材もありました。
素材によって違うお色味に感じることに、染めの深みや織物の面白さを感じたりもします。
左下の生地が、オーガニックコットン100%の黒、で取り寄せた生地のひとつです。
白っぽくなる黒い服の対処法を考えてみる。
話を戻します。
洗濯脱水後、裏返して陰干しは鉄則として
それでも白っぽくなってくると思います。
・その馴染み方を味方に、コーディネートされることもひとつ。
・白っぽさをなるべくなくしたいと感じる方は、手染めもひとつの対処法かと思います。
実際に手染めで染めものをしていた経験上、製品染めは技術がいると思いますので
ひとつの解決策としては、最初から、ムラ染めにすることもおススメです。
ムラ染めは、使う道具と工程で結果は随分変わりますが
意外性も発揮できる面白い手法と思います。
以前、製品無地染めの技術のある方に染めのコツをお聞きしたことがあります。
最初はムラになって難しかったけれど、今は簡単に染められるわとのおはなし。
ぜひと教えていただいたのですが、その方の経験と勘で染めていらっしゃるな、と感じ断念しました。
聞いて簡単に学べるものではないなと、判断致した次第です。
5.まとめ
白っぽくなる黒い服の対処法を聞かれることがたまにありました。
太鼓判の解決策ではないのですが、生地の性質と成り立ちを考えた上での
選択肢を記してみることで、日常の悩み所のヒントとなったら嬉しく思います。
1.生地の性質:天然繊維は短繊維で毛羽立ちやすい織物もある
2.染めの種類:先染め・後染めの違いを知る
3.染めかさねる‐藍の場合 染め重ねるほどに美しい
4.染めかさねる‐黒の場合 無地染めやムラ染めの手法も考えてみる
じわりと暑さが身近に感じられるようになりました。
それぞれの肌の体調や、着心地など、気持ちの良い、ほっとするものを身にまとって涼やかにお過ごしくださいませ。